字:増田 州明
五個荘金堂の概要
五個荘町は、湖東平野のほぼ中央に位置し、北・西・南の三方を和田山・繖山・箕作山に囲まれ、残る東側を愛知川が流れています。この地域の平野部には、 古代神崎郡条里を受け継いだ条里制地割が残っていて、金堂地区は十条五里と十一条五里にまたがっていたと推定されています。
金堂の集落は、この条里制地割を基本とし、江戸時代の前期には大和郡山藩が元禄6年(1693)に設置した金堂陣屋を中心に、その三方に弘誓寺・浄栄寺・勝徳寺等の寺院を配置し、 更にその周囲に民家が広がる集落校正の基礎ができたと考えられています。
この金堂地区からは、江戸時代後期から明治・大正・昭和にかけて近江商人が多く輩出しました。彼らは京都・大阪・東京等に出店を持ちましたが、決して郷里を離れる去ることはなく、 金堂集落の中心部に意匠を凝らした和風建築の商人本宅を構えています。
また、商人たちの財力は弘誓寺(本堂:重要文化財)や大城神社などの大規模な社寺建築に見るべき建築物を遺しています。
社寺や商人本宅の周囲には、湖東平野の農家住宅の典型を示す建物が一部改変を受けながらも数多く残っていて、さらにその外周には、条里制地割を示す整然とした水田風景が広がっています。
このように金堂の町並みは、古代条里制地割を基本とし、陣屋や寺院を中心に形成された湖東平野の典型的な農村集落ですが、江戸末期から明治・大正・第二次世界大戦終結時にかけて近江商人が 築き上げた意匠の優れた和風建築群として商人たちの高い美意識を醸し出した町並みがよく保存されているものとして、平成10年12月25日に国の重要伝統的建造物群保存地区の選定を受けました。 (五個荘町金堂伝統的建造物群保存地区 ~歴史的町並み保存のために~ より抜粋)
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