食文化

 近江商人の食の基本は質素倹約。特に農業を本とした五個荘商人の日々の食は、自給の米と野菜が中心。一方、ハレの日には京都の錦市場から山海の珍味を取り寄せ料理人を雇います。ここに「始末と贅」の食文化があります。

(五個荘町川並のある商家の食の暦を再現)

冬(師走・睦月・如月)

主人が本宅でくつろぐ唯一の季節

● 朝ごはん(麦飯・漬物・お茶)家族も使用人も同じ麦飯。
● 前小昼(かきもち・あられ)午前中のいっぷく。
● 昼ごはん(麦飯・とろろ汁・たくあん・お茶)
● 子どものおやつ(かきもち・あられ・焼きもち・干し柿)
● 小昼(五目飯・お茶)午後の間食。家族・使用人全員で。
● 晩ごはん(大根飯・あじの干物・かぶら蒸し・お茶)
○ 正月の祝い膳(はまぐりともちの雑煮・祝いざかな三種[田作り・黒豆・数の子]・焼きはまぐり・はまぐり汁・にしんのこんぶ巻き・結びこんぶの煮つけ・たたきごぼう・梅湯)久しぶりの主人を中心に家族・使用人全員が、正月を祝う。
○ ねずみ正月(小さく切ったもち)商売繁盛を願い、ねずみの通り路にそなえる。
○ 長老講(山海の珍味)村の長老の男子でつくる講。明石からたいを取り寄せ、山海の珍味をふるまう。

田畑の植付けに忙しい

春(弥生・卯月・皐月)

● 朝ごはん(麦飯・たくあん・お茶)
● 昼ごはん(麦飯・水菜の味噌汁・たくあん)
● 子どものおやつ(かきもち・三角せんべい)
● 小昼(五目飯やおにぎり・お茶)
● 晩ごはん(たけのこ飯・干しにしんの焼きもの・わらびの煮つけ・お茶)春の息吹を感じさせる素材が食卓に並ぶ。
○ 桃の節句(白酒・あられ・菱もち・はまぐりの澄まし汁・五目ずし)
○ 春祭り〈五箇祭り〉(棒だらの煮つけ・たけのこの煮もの・ふなの澄まし汁・ふなの子づくり・木ノ芽でんがく・巻ずし・五目ずし・菜飯)主人や店の者は大半は不在であるが、本宅ではごちそうを作る。
○ 春の大掃除(いばらもち・よもぎだんご)子どもや子守りが摘んだよもぎでだんごを作る。

夏・秋の食事

近江商人博物館

東近江市五個荘竜田町583
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