大澤の無形文化財(くがつのついたちひゃくまんべん) | |
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9月の1日百万遍(くがつのついたちひゃくまんべん)が例年のごとく大澤の字内でありました。 百万遍(ひゃくまんべん)とは昔大澤に疫病が流行り、通りがかったお坊さんがそれを見て村のこどもたちに9月の1日午前0時から大澤の字内を大きな数珠を持って廻ると疫病が防げるであろうという言い伝えが現在もならわしとして残っているのです。今の子供たちのお父さんも、おじいさんも、ひいおじいさんも、ひいひいおじさんも、・・・も、こどもの時は百万遍をやっており、永々と350年ぐらい続いている大澤の無形文化財の行事です。なぜこども達が、なぜ午前0時からなのか文献がまったく無く今でもわかりません。行事の行い方も長老などの口伝えで続いている伝統行事です。 行事の内容を簡単に説明すると、小学3年生から中学3年生のこども達が午前0時から大きな数珠を持って字内を3回走り、字の辻々で 「くがつのついたちひゃくまんべん あ〜なんまいだ あ〜なんまいだ」 と唱えて廻り、澤のハウスへ戻り休憩します。それを4回行い計12回廻ります。夜明け間近になると地蔵院へゆき数珠を地蔵院の外で50回、境内で逆回転で50回まわし、八楽溜に行き水に浸けて清め澤のハウスに戻ります。これは現在のおこない方ですが少子化のため昔と変わっています。昔は小学3年生から6年生までの男子でおこなわれていました。今年は、湖東町教育委員会の森容子先生と松竹映画の方、計3名が来られました。こんど市町村合併があり、それまでに湖東町の色々な行事の記録をアーカイブとしDVDに残しておきたいため松竹映画の方に撮影の依頼をされたようです。撮影の機材は小型のビデオカメラですが照明機材はプロ仕様の物を持ち込まれました。また、大澤のホームページにもライブカメラを澤のハウスに設置し、こども達の出陣する様子を配信しました。 |
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さて、午後11時30分、いつもであれば就寝しているであろう子供たちがあつまってきました。澤のハウスに着くといきなりカロム、トランプゲームである。今日は一晩中大事な行事をしなければならないという大人じみた不安はみじんもない。今日は親公認で夜明けまで遊んでいられるんだという好奇心、優越感でいっぱいなのであろう。こうゆう経験は大人になって幾つになっても忘れないもので、いい経験として記憶に残ると思います。始めに区長さんより説明、注意することなどの指導を受け、数珠を渡され高学年が持つ太鼓を先頭に一斉に字内出陣。そのあとに松竹映画の方が走られました。最初に、金ちゃんハウスの辻で「くがつのついたちひゃくまんべん」と数珠を回しながら唱える。始めは気恥ずかしいのか声が小さい。2〜3箇所で走ってくるこども達を待ち構え大きな数珠の珠に願いをかけられる家庭もありました。 字内は事前に外灯を点けていただくようページングで連絡してあったので走りやすかったと思います。 松竹映画の方も ”走るとは知らなかったので付いて行くのがえらいわ” と言っておられました。大人よりこどもの方が元気がありそうですね。 こども達は3周字内を廻り、澤のハウスに戻って来たときは汗びっしょりでしばらく休憩します。その間に区長さん、副区長さんの奥さんの手作りの焼きそば、スイカ、お菓子などを夜食として出されました。接待もなかなかたいへんです。 こども達は休憩している時も遊びで夢中であり、パソコンを触ったり、ライブカメラのレンズを覗き込んで ”瞬間移動” と言って遊んでいました。 |
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休憩中に百万遍について、区長さんと野村シズカズさんが森先生のインタビュー形式で百万遍の起源、昔と現在のおこないかた、などを記録として撮影されました。 | |
字内廻りも高学年の合図により出発し、主導権はこども達にあるようです。 字内の12周も済み、午前4時くらい(まだ空は真っ暗)になると、地蔵院と八楽溜に出発。区長さん宅のおばさんもまだ暗い中拝むのを待っておられました。こども達が県道を走っている時は大きいトラックがスピードを出しているので、思わず声を荒げてしまった。 |
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八楽溜に着くと東の空も徐々に明るくなり、澤のハウスに戻ってきたときは完全に夜が明けていました。 |
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全ての行事が終わり、こども達は大役を果たした達成感と安堵感で誇らしげにゆっくりと澤のハウスに戻っていきました。そばから観ているとなにか ”一回り大きくなったな” と考えさせられました。 ごくろうさんでした。 澤のハウスに着くと区長さんに数珠を渡し朝食です。朝食はここ何年間かカレーと決まっているようです。 ちょうど東の山にお日さんが出るころ(6時頃)解散となりました。 |
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主役のこども達、区長さん、副区長さんと奥さん方、森先生、撮影の方、立会いの方、長い一夜、ごくろうさまでした。合掌 |
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(嘉隆) 次のページ 前のページ |