滋賀報知新聞(ニュース)平成17年10月6日(木)第14227号


県が総会の中止を判断

先月29日予定の新幹線栗東駅設置促進協議会

一部市長が大津市脱会容認に反発
=促進協の方向転換論も浮上=

▲6月に草津市内で開かれた促進協議会の会議
(湖南・草津市)
 先月二十九日に予定されていた東海道新幹線(仮称)びわこ栗東駅設置促進協議会(会長‖国松善次知事)の総会が県の総合的な判断によって、急きょ中止されたことがわかった。これは、促進協議会からの正式な脱会を求めている大津市に対する県の容認姿勢に対し、促進協議会の構成メンバーである一部市長から異論が出て、現在、意見調整が困難になっているためと見られる。同総会は、十二月に予定されているJR東海との工事協定前後まで延ばされる見通しになってきた。         

【石川政実】


 大津市議会は先月二十八日、新幹線栗東新駅の建設費の地元負担額に相当する「観光振興事業協力金」三億円を盛り込んだ一般会計補正予算案を可決した。

 設置促進協議会からの脱退を昨年四月に表明していた目片信・大津市長だけに「県への義務は果した。一日も早く脱退を認めてほしい」との思いが強いものと見られている。しかし先月五日の促進協議会の全市長(栗東市を始め草津市など周辺六市)と国松善次知事との正副会長会議などでも「県都の大津市が脱退することを認めれば、促進協議会の存在意味がなくなる。県がどうしても大津市の脱退を認めると言うなら、促進協議会は解散、または方向転すべきだ」と一部市長から異論が出たという。

 湖南地域のある市長は本紙取材に「促進協議会は建設費の負担を話し合う場から、いかに需要を拡大するかを話し合う場に切り替えていかねばならない。東近江地域の市町も加えていくべきだ」と話している。

 このように県の大津市脱退容認に対して一部市長の反発が強く、県は混乱を恐れて先月二十九日に予定していた促進協議会の総会を中止する判断をしたものと見られている。

 県議会は七月二十七日、臨時議会を開き、栗東新駅の建設費全体の半額に当たる約百十七億円を債務負担行為とする補正予算案を可決したが、提案説明の中で国松善次知事は、県の示した費用分担案に甲賀市と大津市が難色を示し、四億七千五百万円の調整がついていないことについて、「県は未調整分を負担する考えはない。私が責任を持ってJR東海との工事協定締結までに解決に当たりたい」と政治生命をかける決意表明をした。

 大津市の負担問題は観光協力金で一応の決着をみたものの、甲賀市議会では七月二十八日、臨時議会を開き、栗東新駅の債務負担行為二億五千万円(県が示した負担案を一億七千五百万円も減額)などの一般会計補正予算案を可決したままだ。この二十三日投票の甲賀市議選を待っているのか、いまだに国松知事は、中嶋武嗣・甲賀市長との会談を持っていない模様だ。

 国松知事にとっては、甲賀市の負担金問題が“前門の虎”なら、大津市の脱会問題が“後門の狼”になりそうな雲行きである。


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認知症への理解と支援

キャラバン・メイト養成研修

東近江地域 サポーター目標2千人
=近畿初、独自の3回講座スタート=

▲関係者約100人が参加した研修
(湖東・近江八幡市)
 ますます高齢化が進む現代社会において、認知症の高齢者も増加すると考えられることから、地域住民の認知症への理解と、認知症高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりや支援の仕組みづくりが求められている。

 このような現状を受けて厚生労働省は今年度、認知症理解と啓発を通じて認知症の人や家庭を応援するボランティア「認知症サポーター」を全国で中間年の平成二十一年度末までに百万人養成し、十年後の二十七年にはすべてのまちが認知症になっても安心して暮らせるまちになる「認知症を知り地域をつくる十か年」の構想をスタートさせた。

 特に今年度は「認知症を知る一年」と定め、地域・企業・学校などで開催される認知症サポーター養成のための住民講座「認知サポーター養成講座」で講師役として、また、各機関のネットワーク化推進や地域リーダーとなる「キャラバン・メイト」を養成する研修が全国各地で開かれることになっている。

 東近江地域では、平成十三年度から認知症高齢者対策に取り組んでいる東近江地域振興局管内二市五町の医療・保健・福祉関係者で構成する東近江「福祉の地域づくり」推進協議会(今井泰助会長)が取り組みの充実を図るため、キャラバンメイト連絡協議会との共催でこの事業に取り組むことになり、近畿で初(全国二番目)となるキャラバン・メイト養成研修を、このほど県立男女共同参画センター(近江八幡市)でスタートさせた。

 研修には、管内で認知症にかかわりをもっている人をはじめ、警察、消防、民生児童委員、自治体などの関係者約百人が受講。瀬田川病院副院長で老人性認知症センター長の宮川正治氏、県社協次長の北川憲司氏、近江八幡市健康推進課副主幹の森村敬子氏から、認知症、地域づくり、認知症サポーター、養成講座についての講義を受けた。

 国の定めるキャラバン・メイト養成研修は、認知症の基礎知識や地域のネットワーク、認知症サポーターの位置づけ、認知症サポーター養成講座の展開など、六時間の集中講座受講(一回)で修了となり、キャラバンメイト連絡協議会へ登録されるのが標準となっている。

 東近江地域の場合、これを第一回「総論・概論」(九月二十七日)と位置づけ、実際の講座実演やグループワークなどを行う第二回「実践から学ぶ」(十月下旬から十一月初旬)と、行政との情報交換やキャラバン・メイト自身の役割や位置づけを確認する第三回「実践に向けて」(十一月下旬から十二月初旬)の、内容を充実させた二回の独自のカリキュラムを増設し、三回の研修修了後に「協力意向書」で意向表明を行い、キャラバン・メイト登録することになる。

 東近江地域では、認知症高齢者三人に認知症サポーター一人となる、二千人の認知症サポーター養成を目指す。


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ボランティアスタッフ募集

パーソナリティー&レポーター

=FMひがしおうみ=

(湖東・東近江市)
 東近江市を中心とした地域情報を伝える「まちの放送局」づくりに取り組んでいるFMひがしおうみ(愛称・ラジオスイート)は、番組の充実を目的にパーソナリティーとレポーターを一般募集している。

 同局は、八月一日に開局して二ヶ月余りが経ち、地域のコミュニティー放送局としての認知が広がり、リスナーも増えて来た。今回、番組づくりが軌道に乗りはじめて来たのをステップに、さらに豊富な地域情報の収集と発信を目指してボランティアスタッフを募集するもの。

 パーソナリティーは、朝か夕方の生番組に出演、レポーターは、イベントや話題の取材、現場からのリポートを番組の中で紹介したり、出演したりする。

 いずれも応募条件は、毎週、八日市上之町のスタジオまで通える二十歳以上の人で、ラジオの経験は問わない。また、営業アシスタントも同時募集している。

 応募方法は、市販の履歴書に必要事項を記入し、上半身が写った顔写真を添えて〒527−0022 東近江市八日市上之町9−488 FMひがしおうみへ。電話による問い合わせは、月〜金曜日の午前十時〜午後五時の間に24−5501へ。メールでは、info@815.fm へ。


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あかねっ子ホーム通学合宿

生きた経験でひと回り成長!

蒲生町教育委員会
=初の試み大成功=

▲八日市調理師会メンバーから刺身用の切り方を教わる子どもたち
(湖東・蒲生町)
 地域の子どもは地域で育てる―。まさに言葉通りの「あかねっ子ホーム通学合宿」が一日に終了し、参加した蒲生町岡本地区の小学四年生から六年生の児童十七人がテレビのない生活に「楽しかった」と口を揃え、実りの秋にふさわしい大きな収穫の三泊四日となった。

 これは、自立心や協調性、地域への愛着、コミュニケーション能力向上といった生きる力を育むとともに、地域で子どもたちを育てる礎にと、蒲生町教育委員会が初めて企画したもの。

 ガリ版を発明した堀井新治郎親子の本家母屋を通称「あかねっ子ホーム」と命名し、子どもたちが親元を離れて共同生活しながら学校に通った。食事などの身の回りの世話は、同町の健康推進員や更生保護女性会らを中心に、大学生や地域住民ら約六十人のボランティアスタッフが支援。
▲精神統一する座禅に挑戦

 「テレビがなくても生活できるんだ」。子どもたちをそんな思いにさせたのは、帰宅後の夕食やお楽しみ時間などのおかげ。宿泊三日目の先月三十日は、八日市調理師会が登場し、八日市公設市場の丸魚と中央水産提供による新鮮なヨコワ一匹を目の前でさばいて見せた。同会技研部の安井久和部長は、「家庭で料理を一から作ることは難しいと思う。そんな時代だからこそ、自分たちで一から作った料理を食べてほしい」と語った。

 子どもたちは、刺身用の切り方を教わり、手巻き寿司を準備。勝永有紀子ちゃん(9)は「(調理師さんの)切るスピードがすごく早かった」と目を丸くし、増倉芽以ちゃん(10)は「魚を切るのは初めてで、堅くてちょっとすべった。自分で切ったのはおいしいと思う」と話し、熊倉侑子ちゃん(10)も「あまり料理はしないが、とてもおもしろかった」と、三人とも海苔に具をいっぱいのせて豪快にほおばっていた。

 また、同日夜には、梵釈寺の熊倉実栄住職が、子どもたちに精神統一する座禅の心得を伝授した。背筋を伸ばし足を組み心の中で数を数え始めた子どもたちは、木魚三つの合図で絶対動かないことを約束し、座敷には風の音と虫の声だけが響く静寂が漂った。自ら合掌して警策(けいさく)を申し出た町田史弥君(12)は「数が数えられなくなったので、(警策を)打ってほしいと思った。けっこう痛かったけど、おもしろくて気分がすっきりした」と話していた。

 熊倉住職は「みんなの生活の中で、面倒なことや嫌なことは逃げようと思えば逃げられる。しかし、座禅のように逃げ場がなくなったときにどうすればいいか。自分の行動そして進む道は自分で考えていくことが大切」と、生きていく勇気と知恵を説いた。
▲地域住民やボランティアスタッフに感謝の気持ちを伝える子どもたち

 あっという間の四日間。最終日の一日は、堀井家母屋の土間でパーティーが開かれ、山中壽勇町長も駆け付け、子どもたちが「もらい湯でいろんな人の家のお風呂に入れて楽しかった」や「初めは嫌やったけど来てよかった」、「自分でできることがいっぱいあるということに気付いた。家でもできることはしていきたい」など一人ひとりが感想を語った。

 代表して安井美紗貴ちゃん(12)が「またこんな合宿があったらいいなと思った。本当にこの四日間、ありがとうございました」と、地域住民やボランティアスタッフに感謝の気持ちを述べた。
 誰も言わなくても、食後に使った食器を炊事場まで運び、脱いだ靴を揃えて家にあがるなど、子どもたちは多くの人のサポートを受けつつ合宿を通して自然にさまざまなことを身に付け、成長を遂げた。


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青年海外協力隊パネル展と小物展

世界で活躍する湖国出身隊員

=12日まで 近江八幡市立図書館=

▲海外の文化に触れることができる小物展
(湖東・近江八幡市)
 近江八幡市立図書館(宮内町)で、県内出身の青年海外協力隊員の活動ぶりを紹介する「このまちから世界へ〜滋賀県青年海外協力隊パネル展〜」と、隊員が持ち帰った品々で現地の生活や文化を紹介する「シリアとエル・サルバドルの小物展」(JICA大阪国際センター、滋賀県青年海外協力協会、県共催)が開かれている。十二日まで。

 図書館玄関横の三角コーナーには、近江八幡市からラオスに派遣された看護師の友清栄子さんをはじめ、岡田真由美さん(理学療法士・ブータン)、深尾久美子さん(養護・ニカラグア)、八日市市(現東近江市)からの嶋澤恭子さん(助産婦・ラオス)、山口奈津子さん(理数科教師・ケニア)、佐々木なつ子さん(日本語教師・タイ)など、県内出身隊員二十一人それぞれの能力や技術を最大限に生かして、発展途上国の国づくりに協力し、輝いている現地での活動の様子や、人々との楽しそうな交流の様子を紹介する写真パネルが展示され、来館者に、青年海外協力隊や国際協力への理解と協力を訴えている。

 また、シリアのアルギーレ(水たばこ)やエル・サルバドルの民芸品など、隊員が帰国時に持ち帰った現地の生活用品や本、手工芸品などを展示する小物展では、海外の文化に触れることもできる。

 昭和四十年発足以来、昨年度までに派遣された協力隊事業は、八十か国、二万五千四百二十八人におよび、滋賀県からも二百五十七人が派遣され、二十七人が現在活動している。

 開館は午前十時から午後七時。会期中、十一日休館。十月二十日からは甲賀市甲賀図書情報館(甲賀市甲賀町大原中)でも開催される。近江八幡市立図書館への問い合わせはTEL0748―32―4090まで。

 


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