教育

五個荘商人を多く輩出した要因の一つに高い教育力がありました。

●近世の教育

■ 庶民教育の場・寺子屋(てらこや)

 寺子屋は、室町時代に僧侶が付近の子供を集めて読み書きを教えたのが始まりですが、本格的に普及したのは江戸時代中期以降でした。 寺子屋では僧侶・神官・医者のほか、浪人や百姓・町人で教養ある文人が師匠となり、往来物(初等教科書)を使って授業がおこなわれました。授業内容は読み・書きが中心ですが、商業の盛んな地域ではこれに算術が加わりました。

■ 五個荘での教育活動

五個荘には10校の寺子屋があり、次のような特徴がみられました。

(開校年代の早さ)

 全国的にみると、寺子屋の数は天保期(1830〜44)以降に急増。
 しかし、五個荘では寛永17年(1640)の梅廼舎(うめのや)をはじめ早くから開校し、明治時代の学制施行まで存続している。

(寺子数の多さ)

 一校あたりの平均寺子数は全国60人・近江40人。これに対して五個荘は110人ときわめて多い。同様に、女子の比率も全国値より高い。

(算術普及率の高さ)

 全国値21%に対して、五個荘では70%の寺子屋で算術の授業をおこなっていた。


 これらの特徴からは五個荘の人々の学習意欲の高さが窺えます。そのほか五個荘商人が輩出し、同時に商家へ奉公に出る者も多かったため、読み・書き・算術能力を身につけることが期待されていたと思われます。

近江商人博物館

東近江市五個荘竜田町583
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