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滋賀 |
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【湖東】
生ごみ堆肥化へ住民一丸
東近江・蒲生岡本
生ごみを燃えるごみとして搬入することを禁止し、可燃ごみの一部はリサイクル可能な資源ごみとして独自で収集している自治会が東近江市内にある。旧蒲生町の岡本地区だ。79の全戸に徹底させ、完全実施から1年8カ月が経過。家庭から出る可燃ごみの量は半減したという。同区の取り組みを紹介する。 (前嶋英則)
生ごみの搬入禁止は「ごみステーションが臭い」がきっかけで始まった。4年ほど前までは、区内に1カ所あった「ごみステーション」は決められたごみの収集日になると、悪臭が漂っていた。対策として住宅地から離れた場所への移転も議論されたが、結論が出なかった。
同地区は旧蒲生町が進めた町内自治会のまちづくり事業を支援する町夢プラン事業に呼応。2002年に「岡本夢プラン環境整備委員会」が結成され、懸案だった生ごみ問題に取り組み、ごみのリサイクルでごみを減量することを自治会に提案。04年9月に「生ごみを一切出さない」という宣言をし、区独自のごみ対策に踏み切った。
家庭のごみが集まるごみステーションには「生ごみ搬入禁止」の看板がくくりつけられ、全戸が約束を守ることで悪臭は消えた。搬入できなくなった生ごみは電気生ごみ処理機で堆肥(たいひ)化され、個々の畑に還元。農地のない人は農地のある区民の畑に生ごみを運び堆肥化処理するなど、各家庭の事情も考慮して徹底を図った。
生ごみ以外のごみは、プラスチックなど一部を除き、新聞や雑誌、段ボール、アルミ缶、古布、ペットボトル、トレー、ティッシュペーパーなどに分別。資源ごみとして区内の「再生ステーション」に集め、業者に引き取ってもらっている。
同委員会の岡田文伸前委員長(50)は「『ほんまに全戸でやっているの』と他地域からよく聞かれる。皆さんは大変なことだと思うようですが、生ごみの悪臭がなくなり、可燃ごみが大幅に減るなどプラス面を知ったから続けられる」と話す。
同区は「この事業は岡本地区だけでやっていても意味がない」として、活動が市全体に広がることを願い3月、市に可燃ごみ減量のための生ごみ堆肥化施設整備を求める要望書を提出した。
市は、ごみの処理方法が合併前の旧1市6町のそれぞれのやり方が引き継がれている現状から、統一した資源循環型のごみ処理システム構築を目指し、早急に懇話会を立ち上げる方針。独自でごみのリサイクルに取り組む岡本地区にも協力を求めたい−としている。
各家庭がごみ問題と向き合い、個人のモラルと自覚を頼りに進められる同地区の活動が良いモデルとなり、広がっていくことが期待される。
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