ガリ版の里帰り 新ガリ版ネットワーク始動

■平成21年1月5日(月) 

=印刷器材など収集・提供=

ガリ版を囲めば思い出話にも花が咲く(昨年11月23日、新ガリ版ネットワークの即売会で)

◇東近江・蒲生
 年賀状をパソコンで作る現代、ひと昔前の主流といえば謄写版だった。明治二十七年に蒲生岡本町出身の堀井新治郎親子が開発・販売したもので、昭和五十年代まで八十年以上にわたり全国で愛用され、ガリ版文化を築き上げた。便利なのが当たり前の時代だからこそ手間をかける喜び・魅力をガリ版を通して感じてもらおうと、蒲生岡本町を活動拠点とする全国組織「新ガリ版ネットワーク」(山中壽勇会長、会員約七十人)が誕生した。

 新ガリ版ネットワークは、志村章子さん=神奈川県在住=が主宰してきたガリ版ネットワーク(一九九四〜二〇〇七年)を踏襲し、昨年九月から蒲生岡本町を拠点に活動をスタート。
 不要になったガリ版器材の収集や愛好者への器材提供、散逸・消失しつつある史資料の収集、ガリ版関連の資料館・技術者・美術家との連携、情報発信などに取り組んでいる。
 提供器材は志村さんが十三年間収集したもので、謄写版約八十台・鉄筆約二百本・ろう原紙約二十万枚、歴史資料約二百点にもおよぶ。現在、旧堀井家の二つの蔵で、厳重に保管されている。
 「器材の中には、遺品として寄せられた愛蔵品も多い。先人の思いをつなげていくためには、ガリ版のふるさと蒲生岡本町に拠点を移すことが、将来を見据えてベストな選択。新しい人たちと力を合わせ、豊かなガリ版文化の花を咲かせたい」と、志村さんは新たな門出に胸を膨らませる。
 愛好者ニーズにこたえる第一歩として、昨年十一月下旬、岡本公民館で開かれた“ガリ版芸術村文化祭”で、初の即売会を実施。ガリ版を懐かしむ高齢者に混じり、新たな表現法を探す美術系大学生や若者が謄写版を購入していく姿が見受けられた。
 ガリ版芸術村事務局長でもある岡田文伸副会長は「ガリ版を通して、全国の個人・団体・企業とネットワークを結び、手作りの良さを訴えていきたい。末永くガリ版伝承館周辺が活気のあるガリ版芸術村として成長できれば」と語り、田中浩事務局長も小学校へ出向いてガリ版教室を開くなど次世代への文化継承に力を注ぐ。
 同ネットワーク所有の器材などは、SHOP岡本宿、(http://cart05.lolipop.jp/LA12617838/)でネット販売しており、新会員も募っている。詳しくは、岡田副会長(090―3849―1798)または田中事務局長(090―3268―3134)へ。



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