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UPDATE 2006年5月31日

Vol.169:東近江市蒲生岡本町


ガリ版は画期的発明と実感

 中山道小幡(東近江市)と東海道土山宿(甲賀市)をつなぐ御代参(ごだいさん)街道は江戸時代、伊勢神宮や多賀大社に通じるバイパスの役目を果たした。旧蒲生町の岡本はその宿場の一つで、謄写版を発明した堀井新治郎父子の故郷でもある。
 ガリ版と呼ばれ広く親しまれた謄写版も、現在ではほとんど見かけなくなった。ガリ版の魅力と堀井父子の功績を伝えようと98年、町が中心となり堀井家の本家洋館を改修し、ガリ版伝承館を開館した=写真1。ガリ版1号機や、明治、大正のガリ版印刷物が展示されている。
 実際にガリ版を体験することもできる。鉄筆を手に初挑戦した=写真2。ガリガリという音が心地よく、次第に作業に没頭。力を入れすぎた個所もあったが、細かい線まできれいに印刷できた。ガリ版が画期的な発明であったことを改めて実感した。
 館内の説明係は地域の人が交代で務める。その1人、岡田文伸さん(50)はガリ版芸術村の構想を温めている。「独特の味わいを持つガリ版は多色刷り版画にも用いられる。伝承館周辺が将来、芸術家たちが創作活動をする拠点になれば」と夢を語る。
 伝承館を出て東へ歩くと、緑の木々の中に梵釈寺が現れた=写真3。本尊の木像は平安時代のもので、現存する宝冠阿弥陀(あみだ)如来像の中で最古の作例とされる。高さ約1メートルの像は前に座ると大きく感じられ、自然と背筋が伸びた。
 岡本にはさまざまな史跡や言い伝えが残る。「勉強すればするほど、自分の住む集落の歴史がすごいと感じます」という岡田さんの言葉が心に残った。

ガリ版伝承館は土、日曜に開館。見学無料。ガリ版体験は100円。見学の予約は蒲生教育分室(0748・55・4885)へ。梵釈寺(0748・55・2701)は随時拝観できる。。

※この記事は、朝日新聞読者にお届けしている
「あいあいAI 滋賀」に掲載されたものの転載です。


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