にっぽん百歳ファイル

2006年6月17日(土曜日)放送

畑は笑顔でいっぱい
大分・工藤キミヱさん
明治38(1905)年3月10日生まれ

 工藤キミヱさんは、大分県竹田市の郊外、開拓地として拓かれた山あいに一人暮らしをしています。10アールほどの畑を一人で耕し、ジャガイモや大根など、10種類ほどの野菜を育てています。畑では、取った雑草を畑に返して肥やしにしたりするなど、元気な野菜を育てるために、土にやさしい農業を心がけています。そんなキミヱさんにとっては、丹誠込めて育てた野菜の収穫が何よりの楽しみです。

●百歳の「畑」

キミヱさんの10アール(約300坪)の畑では、エンドウ豆やイチゴが収穫の時期を迎えていました。この畑は、昭和21年にキミヱさんが家族と入植して以来、60年間ずっと耕し続けてきた畑です。
●百歳の「道具」
キミヱさんのクワは、柄を短く切って、小柄な自分の体に合わせてあります。畑仕事が終わるとクワに付いた土を落として、クワも一緒に休めます。キミヱさんは、クワをよき相棒だと言って、大切に扱っています。
●百歳の「手」

クワを持ち続けるキミヱさんの手には、タコができています。決して、まっすぐと伸びたきれいな手ではありませんが、そこには、自ら畑を開墾し、クワを振り続けた証がしっかりと刻まれています。
●百歳の「服」
キミヱさんが着る服は、全て自分で手作りしたものです。襟の周りや袖口を広くすることで、着やすいように工夫されています。着なくなった服の生地を縫い合わせたり、セーターをほぐして毛糸を再利用するなど、材料もリサイクルしています。
●百歳の「家」
キミヱさんの住む家は、入植後、夫や子どもたちと一緒に建てたものです。はじめに玄関や部屋など大まかな部分を造りました。その後、育てたタバコなど農作物を売ったお金で、窓や障子、ふすまなど建具を少しずつ買い増して作り上げてきました。キミヱさんはこの家を自分の宝だと言います。
●百歳の「メッセージ」
「ここは、うちにとっては天国やなー。
一日働いて、風呂に入って、晩に寝たら、こんなに気持ちいいことは無いね。」

キミヱさんは、都会に住む子どもたちから同居を何度も誘われています。しかし、この地を離れて暮らそうと思ったことはありません。一日、畑で働いて、風呂に入って、日没と共に眠る。それが自分にとって、最も幸せなことだと言います。
●百歳の「素顔」(取材ディレクターの印象)
キミヱさんの「素顔」は、番組で見せてくれるあの笑顔そのものです。大分の山奥で一人、ほとんど人と顔も合わすことの無いお年寄りの表情が、こんなにも豊かなのかと驚きました。
取材を進めるうちに、自然に逆らわず、土を耕し、育てた野菜たちと会話をし、自分の住む土地を天国だと感じるその心の豊かさから、あの笑顔は出てくるのだと感じました。

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