長期優良住宅について


長期にわたり良好な状態で使用するための措置がその構造及び設備について講じられた優
良な住宅の普及を促進するため、国土交通大臣が策定する基本方針について定めるとともに、
所管行政庁による長期優良住宅建築等計画の認定制度及び当該認定に係る住宅の性能の
表示によりその流通を促進する制度の創設等の措置を講ずる。


長期優良住宅の認定基準(概要)
劣化対策
・法第2条第4項第1号イ
・規則第1条第1項

数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること。
通常想定きれる維持管理条件下で、構造躯体の使用継続期間が少なくとも100年程度となる措置。
〔木造〕
  ・床下及び小屋裏の点検口を設置すること。
  ・点検のため、床下空間の一定の高さを確保すること。(330mm)
劣化対策等級3に加えて
・床下及び小屋裏の点検口を設置。
・床下空間に330mm以上の有効高さを確保。
耐震性
・法第2条第4項第1号ロ
・規則第1条第2項
極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること。
大規模地震力に対する変形を一定以下に抑制する措置を講じる。
〔層間変形角による場合〕
  ・大規模地震時の地上部分の各階の安全限界変形の当該階の高さに対する割合をそれぞれ1/100以下
(建築基準法レベルの場合は1/75以下)とすること。
〔地震に対する耐力による場合〕
  ・建築基準法レベルの1.25倍の地震力に対して倒壊しないこと。
〔免震建築物による場合〕
  ・住宅品確法に定める免震建築物であること。
次のいずれかの措置を講じる。
・免震建築物であること。
・大規模地震時の地上部分の各階の安全限界変形の当該階の高さに対する割合をそれぞれ1/40以下とする。(層間変形角を確認)
・耐震等級(倒壊等防止)の等級2とする。
維持管理・
更新の容易性
・法第2条第4項第3号
・規則第1条第4項
構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備について、維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること。
  ・構造躯体等に影響を与えることなく、配管の維持管理を行うことができること
  ・更新時の工事が軽減される措置が講じられていること 等
・維持管理対策等級(専用配管)等級3
可変性
・法第2条第4項第2号
・規則第1条第3項
居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること。
〔共同住宅〕
  ・将来の間取り変更に応じて、配管、配線のために必要な躯体天井高を確保すること。
一戸建て住宅では適用しない。
バリアフリー性
・法第2条第4項第4号
・規則第1条第5項第1号
将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスペースが確保されていること。
  ・共用廊下の幅員、共用階段の幅員・勾配等、エレベーターの開口幅等について必要なスペースを確保すること。
一戸建て住宅では適用しない。
省エネルギー性
・法第2条第4項第4号
・規則第1条第5項第2号
必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること。
  ・省工ネ法に規定する省エネルギー基準(次世代省エネルギー基準)に適合すること。
・省エネルギー対策等級4
居住環境
・法第6条第1項第3号
良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。
  ・地区計画、景観計画、条例によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定等の区域内にある場合には、これらの内容と
   調和が図られること。
・細かい基準はありませんが、所管行政庁が選定・公表したものに適合していること。
住戸面積
・法第6条第1項第2号
・規則第4条第1号
良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。
〔戸建て住宅〕
  ・75u以上(2人世帯の一般型誘導居住面積水準)
・75u以上
   (一つの階の床面積が40u以上)
維持保全計画
・法第6条第1項第4号イ
・規則第5条
建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。
  ・維持保全計画に記載すべき項目については、@構造耐力上主要な部分、A雨水の浸入を防止する部分及びB給水・排
   水の設備について、点検の時期内容を定めること。
  ・少なくとも10年ごとに点検を実施すること。
・構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分及び給水・排水設備について点検の時期・内容を定める。
・少なくとも10年ごとに点検を実施すること。
 (30年以上の計画)
その他に、維持保全計画書・住宅履歴書の作成・保存、定期点検の結果保存などの義務化もあります。




この法律の背景には

   

1 平均築後年数の短さ
滅失住宅の平均築後経過年数の国際比較
77年 55年 30年
わが国の滅失住宅が建っていた年数です。
欧米諸国と比べると、短い。
新築住宅の平均寿命ではありません。

既存住宅流通シェアの低さ
既存住宅流通シェアとは、住宅(新築と中古の合計)の中で中古住宅
が占める割合。諸外国は50%以上なのに対し、日本は13%と低い。
住宅の長寿命化による住居費負担の軽減

                     在来型                        長寿命方
住宅の長寿命化による環境負荷の軽減
平成17年度 42200万t 平成17年度 7700万t

全ての住宅が200年解体されなければ、年間当たり約1300万tの廃棄物の削減が可能。




メリットは


税の面
長期優良住宅は、一般の住宅と比較して建設コストが2割ぐらい高くなる。建設費が高くなることにより税負担が増加する以下の3税について長期優良住宅の税負担額を、一般住宅の負担額以下に抑制する。
一般住宅 長期優良住宅 優遇期限
登録免許税 @所有権保存登記  1.5/1000
A所有権移転登記  3.0/1000
B抵当権設定登記  1.0/1000
@ 1.0/1000
A 1.0/1000
B 1.0/1000
〜2010年3月31日
不動産取得税 1200万円控除 1300万円控除 〜2010年3月31日
固定資産税 戸建て  1〜3年目 1/2軽減 戸建て  1〜5年目 1/2軽減 〜2010年3月31日
住宅ローン
(H21〜H25に居住)
(ローンの年末残高)×1.0 分の
所得税が還付
(ローンの年末残高)×1.2 分の
所得税が還付
〜2013年12月31日


建物は
建物が長持ちするような技術が盛り込まれている。
劣化対策
外壁の腐りやすい部分への措置 規定以上であること
土台への措置
浴室・脱衣室の防水
地盤のアリ対策
基礎の高さ
床下の湿気対策・換気
屋根裏の換気
構造部材について
床下・屋根裏の点検口を設置
床下空間に330mm以上の有効高さを確保
省エネルギ-対策
断熱材を入れる部分と種類 規定以上であること
断熱材の性能が下がらない措置
開口部の断熱性能
維持管理対策
・配水管・給水管・給湯管は、構造躯体のコンクリートに埋めないで、維持管理
 ができるようにする。
・配水管は清掃に影響するようなことが無いようにする。
・清掃が出来るようにする。(清掃口など)
・配管の点検口をつける
耐震性
・免震建築物であること。
・極めて稀に発生する地震による力の1.25倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度
いずれか
計画的な維持管理
・3つの項目(構造・雨水・設備)について点検の時期・内容を決める
・少なくとも10年ごとに点検すること(30年以上)
維持保全の計画書
住宅履歴書を付けます
・住宅の設計、施工、維持管理、権利及び資産等に関する情報をいいます
・住宅所有者である者が、蓄積、活用していくためのものです
・いつ、だれが、どのように新築や修繕、改修・リフォーム等を行ったかの記録