ゴールデンレトリバー

6月〜9月要注意
◎熱射病とは…。

熱射病というと直射日光に当たって脱水を起こす病気だと考えている方が多いと思いますが、実は熱射病は日陰や屋内でも起きます。熱射病とは体温が41℃以上になってしまい、体の機能が正常に維持できなくなる病気です。

ワンちゃんはヒトと違い全身で汗をかきません。汗の代わりに体温調節をする器官は舌なのです。舌にたくさんの唾液を垂らし、呼吸をたくさんして熱を放散します。もちろん、全身で汗をかける人間と違ってその放散させうる熱の量は限られています。体はヒトより小さいので簡単に熱くなりやすく、また体温もヒトより高いため(正常で38〜39℃)簡単に41℃を越えてしまいます。ですから、ワンちゃんの
夏場の環境は風通しがよく、暑くても日陰に移動できる場所や熱のこもらない場所を提供して下さい。
また、遊ぶことを自分で抑制できないワンちゃんの場合は
過度な運動で急激な体温の上昇を起こし熱射病になることもありますので、ある程度のところで飼い主が止めたり、休憩させたりしてください。中には日中に30分間遊ばせて熱射病にかかり亡くなってしまったケースもあるほどです。

夏場の散歩も熱射病の原因の1つになります。皆さんはさほど気付かないかもしれませんが、地面の近く(特にアスファルトの道路)は日光の照り返しを受け、私達が感じている以上に暑いのです。当然、そこを散歩しているワンちゃん達は大変ですので夏場の散歩は、朝は6時前、夕方は日が沈んでからが良いでしょう。
全身の毛を刈って丸坊主(=サマーカット)にしているワンちゃんは涼しそうに見え、熱射病とは無縁のように思えます。しかし、これも気をつけなければなりません。毛がなくなって涼しいことは確かなのですが、これは日陰での場合のことなのです。毛のない状態で日にあたると直射日光を直接的に全身に受けることで
逆に体温の過度の増加を招くのです。日光にあたる場合は服や毛があった方が涼しいものなのです。

大型犬の多くは寒さには非常に強いですが、暑さに弱く日本の風土には適していない犬種があり熱射病を起こしてしまうことがあります。また太っているワンちゃんは皮下脂肪が熱を放散させないため体温の増加を招いたり、脂肪組織が胸や肺、気管(空気の通り道)を圧迫し呼吸器に負担をかけたりしているのです。

◎熱射病になってしまうと…

熱射病になって体温が上がると体を構成するタンパク質は「変性」といって変化してしまいます。
その多くは命を落としています熱射病は治す病気ではなくて予防する病気です。飼い主さんは犬種については治すことはできませんが、環境や生活習慣については変えてあげることができます。ヒトに比べてワンちゃんの方が何倍も熱射病に陥りやすいのですから、その病気の危険性を理解することが大事だと考えられます。